SEOにAIを使うなら、最初に自動化したいのは「記事を書くこと」ではありません。直すべきページを見つけ、1本ずつ改善し、結果を確かめることです。
記事を増やすだけなら簡単です。難しいのは、どの記事を、なぜ直し、何をもって成功とするかを決めること。ここが曖昧なまま自動化すると、読まれない記事と確認作業ばかりが増えてしまいます。
この記事では、Search Console、Ahrefs、Herdrを使って、SEO改善を無理なく続ける仕組みを作ります。最初からすべてを自動化する必要はありません。まずは「改善候補を毎週3本出す」ところから始めましょう。
公開前のチェックに通らなければ修正します。公開後は28日間の変化を確認し、次に直す内容を決めます。
SEOのループ設計とは?
検索データを確認し、直すページを選び、修正し、公開後の変化を確かめる。ここまでを一つの仕事として繰り返せるようにすることです。
流れは次の5段階です。
- 見つける:Search Consoleで、伸びそうなページを探す
- 選ぶ:事業への近さと改善余地を比べ、1本に絞る
- 直す:不足している説明、事例、図解、内部リンクを加える
- 確かめる:事実、文章、表示、リンク切れを確認する
- 振り返る:公開後の数字を見て、次に直す内容を決める
一度きりの指示を工夫するのがプロンプトの改善だとすれば、ループ設計は「毎週同じ品質で仕事を進めるための段取りづくり」です。SEOは公開後にもデータがたまるため、この方法とよく合います。
なぜ「記事作成」から自動化しないのですか?
作る速さより、何を作らないかを決める方が大切だからです。
検索需要がない。既存記事と内容が重なる。自社だから書ける経験がない。このようなテーマを速く書いても、成果にはつながりません。
Googleも、生成AIの利用そのものを問題にはしていません。一方で、読者への価値を加えずに大量のページを作る行為は、スパムポリシーに触れる可能性があると案内しています。
そこで、AIには候補集めや下調べを任せます。公開するかどうかは、読者への価値、事実、ブランドへの影響を人が見て決めます。
どの道具を、何に使いますか?
道具は多いほどよいわけではありません。次の役割がそろえば始められます。
| 役割 | 道具の例 | ここで見るもの |
|---|---|---|
| 自社の検索データ | Search Console API | 検索語、ページ、表示回数、クリック率、平均掲載順位 |
| 市場と競合の確認 | Ahrefs API v3 | 検索数、難易度、流入可能性、競合ページ |
| 複数の作業を管理 | Herdr | 担当ごとの進み具合、確認待ち、完了した作業 |
| 記事の修正 | Git、CMS | 本文、タイトル、図解、内部リンクの変更 |
| 公開前の確認 | ビルド、リンク検査、ブラウザ確認 | エラー、リンク切れ、パソコン・スマートフォンでの表示 |
| 結果の記録 | スプレッドシート、データベース | 仮説、変更日、変更内容、公開後の数字 |
Search Consoleの数字は、自社サイトで実際に起きたことです。Ahrefsの数字は、市場や競合を比べるための推定値です。同じものとして扱わないようにします。
改善するページはどう選びますか?
最初は、Search Consoleから次の条件に合うページを探します。
- 直近28日間で表示回数が100回以上ある
- 平均掲載順位が7位から15位にある
- 事業につながる検索語で表示されている
- すでに記事があり、内容を足せば検索意図に近づける
- 前の28日間と比べて、クリック率か順位が下がっている
この条件は絶対ではありません。サイトの規模が小さければ、表示回数は20回からでも構いません。大事なのは、毎回同じ基準で候補を並べることです。
候補が出たら、次の4項目を5点満点で採点します。
| 判断すること | 5点になる状態 |
|---|---|
| 事業への近さ | 問い合わせや購入の前に読まれるテーマ |
| 伸びしろ | 少しの改善で検索結果の上位を狙えそう |
| 独自性 | 自社の経験、数字、画像、具体例を加えられる |
| 手間 | 1週間以内に公開まで進められる |
合計点が高いものから、まず1本だけ選びます。同点なら、独自性の高い方を優先します。
Search Console APIでは何を取得しますか?
最初に必要なのは、ページ、検索語、クリック数、表示回数、クリック率、平均掲載順位です。
直近28日と、その前の28日を取得して比べます。日々の小さな上下ではなく、ある程度まとまった期間で見るためです。
注意点もあります。Search Analytics APIは、すべての行が返ることを保証していません。クリック数の多い上位データが中心です。そのため、「APIに出てこない検索語には需要がない」とは判断できません。
また、取得した数字だけで記事を直さないようにします。実際の検索結果を開き、上位ページがどのような疑問に答えているかも確認してください。
Ahrefs APIはどこで使いますか?
Search Consoleで見つけた候補に、本当に取り組む価値があるかを確かめるために使います。
Ahrefs API v3のKeywords Explorerでは、検索数、キーワード難易度、流入可能性などを取得できます。たとえば、次のように使い分けます。
- 検索数:その検索語がどれくらい調べられているか
- 難易度:上位表示の難しさを比べる目安
- 流入可能性:上位ページが関連する検索語全体から得ている推定流入
- 検索意図:情報収集、比較、購入など、検索する目的
ここでも推定値をそのまま正解にはしません。自社のSearch Consoleで表示が発生しているなら、検索数が小さく見えても候補に残す価値があります。
Ahrefs APIは、取得する項目や行数に応じて利用枠を消費します。必要な項目だけを指定し、同じデータは一定期間保存して使い回すと無駄を減らせます。
HerdrはSEOで何をしてくれますか?
HerdrはSEOツールではなく、複数のAIエージェントやターミナル作業をまとめて見るための場所です。
たとえば、次のように担当を分けます。
- 調査担当:Search ConsoleとAhrefsから候補を3本出す
- 編集担当:選ばれた1本の構成と本文を直す
- 確認担当:出典、数字、日本語、リンク、表示を確認する
それぞれを別の画面で動かしても、Herdrなら「作業中」「確認待ち」「完了」を一覧で追えます。CLIやローカルのSocket APIから、画面の作成、指示、状態確認、完了待ちも行えます。
ただし、人数を増やせば品質が上がるわけではありません。編集担当と確認担当に同じ指示を渡すと、同じ思い込みを共有することがあります。確認担当には完成原稿だけでなく、出典と確認項目を別に渡してください。
1回分の仕事をどう決めますか?
自動化を始める前に、1回分の仕事を短い仕様書にします。次の内容があれば十分です。
目的
表示回数が多く、平均掲載順位が7位から15位の記事を1本改善する。
入力する情報
- 直近28日と、その前の28日のSearch Consoleデータ
- Ahrefsで確認した検索数、難易度、流入可能性
- 現在の記事
- 検索結果の上位5ページ
- 自社で追加できる経験、数字、画像
公開前に通す確認
- 見出しの直後に、質問への答えがある
- 出典と取得日が分かる
- 自社だから書ける具体例が一つ以上ある
- 内部リンクが切れていない
- ビルドに成功する
- パソコンとスマートフォンで読める
- 日本語を声に出して読んでも不自然ではない
途中で止める条件
- 独自の情報を追加できない
- 既存記事と検索意図が重なる
- 事実を確認できる出典がない
- 2回直しても公開前の確認を通らない
- APIの利用枠や確認時間が上限を超える
ここまで決めておけば、「もっとよくして」のような終わりのない指示を減らせます。
作る担当と確認する担当はどう分けますか?
作る担当は記事を改善し、確認する担当は公開してよい証拠をそろえます。
確認する担当には、次の順番で見てもらいます。
- 数字と固有名詞は出典どおりか
- 検索した人の疑問に答えているか
- 自社の経験や具体例が入っているか
- 日本語は自然か
- リンクと表示に問題はないか
誤字やリンク切れのように、正解がはっきりしたものは自動で修正できます。一方で、検索意図、法務、ブランド表現は人が判断します。
公開後はいつ結果を見ますか?
公開直後の順位を見て、すぐに書き直す必要はありません。まず評価する日を決めて待ちます。
目安として、公開または更新から28日後に、変更前の28日間と比べます。
- クリック数は増えたか
- 表示回数は増えたか
- クリック率は上がったか
- 狙った検索語の平均掲載順位は動いたか
- 問い合わせや資料請求につながったか
数字が下がっても、すぐ元に戻すとは限りません。季節性、検索結果の変化、Googleの更新なども確認します。そして、一度に複数の場所を直しすぎないこと。何が効いたのか分からなくなるからです。
最初の4週間はどう進めますか?
いきなり大きな仕組みを作らず、次の順番で試します。
1週目:候補を出す
Search Consoleから改善候補を3本出します。まだ記事は自動で直しません。
2週目:1本だけ直す
人が1本を選び、AIに構成案を作らせます。編集と公開は人が行います。
3週目:確認を分ける
記事を作る担当とは別に、事実、日本語、表示を確認する担当を置きます。
4週目:記録を残す
「なぜ選んだか」「何を変えたか」「いつ結果を見るか」を1行ずつ残します。ここまで安定してから、HerdrやAPIで繰り返せる範囲を広げます。
最初の目標は、記事を10本作ることではありません。改善候補を選び、1本を安全に公開し、あとから結果を比べられることです。
よくある疑問
AIに記事の全文を書かせてはいけませんか?
下書きに使うこと自体は問題ありません。ただし、出典、経験、判断までAI任せにすると、どの会社でも書ける内容になります。構成の整理や言い換えには使い、自社の経験と最終判断は人が加えてください。
Ahrefs APIがなくても始められますか?
始められます。最初はSearch Consoleと実際の検索結果だけでも十分です。候補が増え、競合や市場を同じ条件で比べたくなった段階でAhrefsを加えます。
毎日改善した方が早く成果が出ますか?
同じ記事を毎日直すのはおすすめしません。検索結果に反映される前に次の変更を重ねると、何が効いたのか分からなくなります。変更日と評価日を決め、その間は別の記事に取り組みます。
どこまで自動化すればよいですか?
失敗してもすぐ戻せる作業からです。データ取得、候補の並べ替え、リンク検査は自動化しやすい領域です。公開、法務、ブランド表現は人の確認を残します。
まずは「候補を3本出す」から始めよう
最初に作るのは、大がかりな自動執筆システムではありません。Search Consoleから改善候補を3本出し、その理由を添える小さな仕組みです。
その3本から人が1本を選び、直し、確認し、28日後に結果を見る。この一巡ができれば、次に自動化すべき場所が自然に見えてきます。
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